1:夏目友人帳(夏目×田沼)

 
 夏目にまた友達が増えたらしい。

 前の学校のクラスメイトで、名前は柴田という。
 ある妖の一件の後からやたらに絡んでくるようになったとか。
 その時の妖の話も全部聞いてるし、彼に会った後は毎回ここに来るのもすっかりお馴染み
 だ。



「なんでああいちいち突っ掛かるのか。」
 ブツブツ文句を言いながら、それでも本気で怒っているわけではない。
 嫌ってないことはすぐに気づく。
 微笑ましさに小さく笑ったら、見つかって睨まれた。
「ごめんごめん。人当たりの良い夏目にしては珍しいなと思って。」
 夏目がこんな風に誰かに対して愚痴をこぼすのは初めてだ。
 妖相手には強気でも、人が相手になると言葉を飲み込んでしまう。その夏目が。
 そこまでさせる柴田という人物には感心すらしてしまう。

「…今回は拗ねたり妬いたりしないんだな。」
 夏目から少し詰まらなさそうに言われて首を傾げた。
「おれが? どうして?」
「タキの時とはえらく反応が違うなと。」

 …確かに彼女の時は妬いた。
 バレていたのかと思うと恥ずかしいが、夏目がそう言うならもしかしてと思う。

「夏目、彼にも妖のこと手伝ってもらう気なのか?」
「え、いやその気はないが。」
 即答に近い答えに安心した。
「それなら妬く理由はないよ。」

 おれが踏み込めなくて彼女が踏み込めた。不安なのはそこだったから。
 それに今は前より頼ってくれている。だから気持ちも安定している。

「そうか」
 夏目はちょっと残念そうだ。
「アレって結構疲れるから」
 だからそうそう妬いてなんかやらないと笑ってみせた。




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10巻柱で妄想したらしいです。タイトルは特になし。
柴田には妬かなかった田沼くん(笑)
以前日記で書いた「ライン」に少しだけリンク。
ってそういえば、この話日記に置きっぱなしだ…
あと2つネタがあるし、まとめて星の神殿に上げようかなぁ。


    
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