3:スーパービックリマン(魔皇師匠)

 
 部屋に灯る明かり、そこに誰かがいるあたたかさを感じてフッドはふと笑みを溢す。

 1人じゃないこと、それは幸せなこと。
 ただ灯りが見えただけでもそんな風に感じて。
 普段は迎える立場だから、逆のパターンは珍しくて余計にそう感じるのかもしれないけれ
 ど。

 …彼も同じように思ってくれているだろうか?
 たとえ何分の一でも、そう思ってくれているなら嬉しい。

 
 彼の帰る場所になりたかった。
 悲しい過去しかないあの人を、それが消えるくらいの優しさと温かさで包みたかった。

 全ての傷は癒せなくても、少しでも満たされた日々を送れるように―――
 
 




「ただいま帰りました。」
 リビングに入ると同時にふわりと美味しい香りが鼻先を掠める。
 カウンターキッチンに立つ彼が目線だけで「お帰り」を返してくれて、ただそれだけで胸
 がいっぱいになった。
 幸せな気持ちで笑みを返すと彼もまた笑ってくれて。
 なんて贅沢なことだろうと心の中で熱い息を吐く。

 この家は温かさと優しさで満ちている…ふとそう思った。
 柔らかなランプの光に照らされた室内は雰囲気も柔らかく、同じ色調で纏められた木製家
 具も安心感を与えてくれる。
 そして見回してたまたま目に入ったきちんと畳まれた洗濯物、鮮やかに盛りつけられたダ
 イニングテーブルの料理。

 意外とマメな彼に小さく笑った。


 元々器用な彼は覚えも早く、どんなことでも嫌と言わず手伝ってくれた。
 彼が家事をする姿なんてあまり想像できなかったけれど、今となっては様になってきたと
 思う。
 きっとそれは彼がこの温かな時間に馴染んできた証なのだと、そう思いたい。


 
「今夜のご飯は何ですか?」
 手伝うために彼のところへ足を向ける。
  

 ――――こんな日も良いと思う、そんな夜。





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王道ではなく何故かマイナーCPで。しかも漫画版。
ティキフェニやティキマリはちょうど良いネタがなかったのです。
このCPは2つネタがあって、短い方にしました。
本編後妄想ですね。
タイトルはありませんが、冒頭に『原材料:魔皇師匠、新居の間取り』と(笑)
このCPは友達のサイトで連載(パラレル中世ネタで)もやってたので書きやすいです。
SBMは友達のサイトで書いちゃうんで自分のところでは書きませんねぇ。


    
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