4:アンジェリーク(ランリモ)

 
 今日も一輪、それは彼からの愛の贈り物。


 ふと気がついて窓辺に寄ると、白く可愛らしい花がそこにそっと置かれていた。
 誰から、だなんて考える必要もない。浮かぶのはあの人の笑顔。

(ランディね…)
 花を手にとったアンジェリークの顔からも思わず笑みが零れる。


「陛下? どうなさったんですか?」
 年若いその世話係の女性はそれを初めて見るらしく、興味を持って見つめてくる。
「…大切な人からの贈り物なの。」
 潰さないようにそっと胸に抱いて、その白い花を彼女に見せた。
「私が外に出れないときはこうして置いてくれるの。」

 頼んだわけではなく、彼が何か言ったわけでもない。
 それはいつの間にか習慣になったこと。

 女王という立場故に、なかなか外に出られないアンジェリークの代わりに。
 彼は季節の花を届けてくれる。

「だから私はいつも時間を感じられるわ。」
「優しい方ですね。」
「ええ。とっても優しい人。」

 そして、愛しい人。





 


 会えない日は窓辺に、そして会える日は笑顔と共に。




 



「―――これ、君の輝く髪の色と同じだったから。」
 爽やかな笑顔で渡す彼に、それがどれだけ恥ずかしい台詞だという自覚はあるのかどうか。

(たぶん、ないと思う…)
 受け取って、赤くなる頬を隠せずに俯く。


 彼は出会った頃からそうだったから。
 無自覚で天然な分だけ、あの炎の守護聖より恥ずかしい時もあるほど。

「…貴方は変わらないのね。」
「何のことだい?」
「でもそんな貴方だから… 私は変わらない貴方が好きだもの。」
 ストレートに言ってみると、今度は彼が真っ赤になる。

 貴方はずっと変わらない。
 私は…少しだけ積極的になったかしら。


「…ねえ、風が気持ちいい場所に連れていって。」

 貴方のサクリアが感じられる場所。
 貴方が司る勇気を運ぶところへ。

「―――だったらお気に入りの場所があるんだ。」
 手を差し出す貴方に笑って応える。




 会えない日には、窓辺に花を。
 会える日には、貴方と一緒に。

 きっとこれからも変わらずに、ずっと、、






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タイトルは特にないです。感謝祭のための書き下ろし的なもの。
金アン女王相手には今までいろいろなCPで書いてます。
でも、風様本命だったのに書いてなかったなぁと。
アリコレも大好きですけどね〜 あの2人は長くなるので…


    
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