9:ガンダムSEED1(Boy's Talk)
「なぁ。キラって彼女のどういうところが好きなわけ?」 それは食堂に男3人集まって、休憩ついでの雑談中のこと。 ディアッカに突然聞かれたキラは少し考える。 「どこって… んー、そうだね……」 ―――プラントの歌姫、ピンクの妖精。 人々は彼女の外見とその優しげな雰囲気を讃え呼んだ。 けれど、キラが惹かれたのは彼女の内面の美しさ。 「…優しくて、でもとても強くて。自分の意志を貫ける潔さが素敵だと思う。」 彼女は守られているだけのお姫様ではない。 平和の歌を歌うために、キラに奪取した最新鋭の機体を与え、自らは戦艦を奪ってプラン トを飛び出した。 「だから、そんな彼女だから、僕はラクスの力になろうと思ったんだ。」 「おお、すっげー惚気。」 茶化すように言われたそれにキラは笑って返す。 「ディアッカこそ、どうなの?」 今度はキラが聞いてみた。 彼に変わるきっかけを与え、そしてここに留まる理由になった少女のこと。 彼はその好意を隠そうとしないから、整備士達はみんな彼の味方だ。 キラの中には少しだけ複雑な心境はあるけれど、彼女のためを思うなら彼の好意は好まし いと思っていた。 「最初がどん底だからなぁ。今やっと一緒に食事してくれるようになったな。」 意外と我慢強い彼は、彼女のどんな態度にもめげない。 最近はその効果が出てきたらしい。 「で、どこに惹かれたの?」 彼女の良いところは友人であるキラもいっぱい知ってるけど。 でも、そのどの部分に引かれたのか興味があった。 「だってミリィってさ、普通のどこにでもいる女じゃん。でも俺よりずっと大人で、なん か勝てねーって思って。今はもうどこが好きとかわかんねぇわ。」 「惚気度は負けてないね。」 つまり全部が好きだと。それをさらっと言うから彼らしい。 「……、ところでさぁ、アスラン。」 さっきから黙ったままの親友に、キラはいささか呆れた視線を向ける。 「…人の話で百面相しないでくれる?」 「ああ、いや、すまない…」 別に謝らなくても…と思いつつ、それ以上言ったら可哀想な気がして止めておいた。 「アスラン面白ぇ。」 その隣では、ディアッカが腹を抱えて笑っていた。 ------------------------------------------------------- 倉庫に眠っているネタを掘り起こしました。 無印ノーマルで男の子の話。アスランはオチ担当です。←感謝祭会場へ