As You Like It




「セイラン様の仰る感性って・・・要するに、自分がいいな、好きだな、と思うこと・・・なんでしょうか?」
栗色の髪の女王候補が、突然こんなことを言い出した。
僕はそれを聞いて笑ってしまった。
そうだよね。全くその通りだよ。


つまり僕は自分が好きなようにやってる好き勝手なヤツってことになるよね。
なんてまた皮肉が口をつきそうになったけど、これはなんとか飲み込んだ。
だって本当なんだから。
栗色の髪の女王候補も、実はそう思ってるんじゃないかな。



でも・・・それならば。
今目の前にいる少年も相当感性のまま動いていると見えるね。
いや、このコの場合、感性じゃなくって、感情、かな。
ああ、本能に近いのかも。


本当に珍しい、闇の守護聖様直々に御達しを受けた仕事を済ませて自分の館に帰ってきたら、銀色の髪の少年が眠っていた。
全く、どういう風に育ったら、ここまで図々しく出来るものなんだろうね。
お陰でちょっと仮眠でも取ろうと思っていたのに、それも出来なくなってしまった。
だって仮眠用のお気に入りのソファは僕より小柄なその身体に占領されてしまっている。


聖地ってところは、本当に平和そのもので、窓も戸も開けっ放しにしていたって、何か盗られるって訳でもないから、
僕はいつも出かけるときに扉は閉めて、窓は開けていく。
窓を開けておくのは勿論、帰ってきたときに新鮮な空気の部屋であって欲しいから。
それじゃ扉を閉める意味が無いという人がいるけれど、そうじゃない。
扉を閉めるのは、留守だってこと、わかって貰う為だよ。

・・・兎に角。
それなのにココにこの少年がいるってことは、窓から侵入したとしか考えられないな。
しかし、館の主が帰ってきても、キミはこうまで熟睡できるものなのかい?


なんだか心の中で悪態をつきながらも、僕は別にキライじゃない。
眼の前の、鋼の守護聖。

そう、僕は仮眠を諦めなくちゃいけないのに、起こす気は起こらない位には。



僕はソファの近くの椅子に腰掛けた。
午後の柔らかい日差しと、窓から入る肌に少しひんやり感じる空気が丁度良く混ざり合って心地良い。
このコも、ココのこういうトコロが好きなのかな。


それから僕はおもむろにスケッチブックを取り出した。
寝てるときくらいはキミでもじっとしているもんね。
そうだな、このコの見た目も、キライじゃないかもね。

どこかトータル的にはアンバランスな感じが、かえってこのコを如実に示しているような気がする。

細い肢体。
少し黒めの肌。
銀色の髪。
小さな顔。
大きめの鋭い眼。
眉は・・・短めだよね。

本当は、赤い瞳が結構気に入ってるんだけど、コレはしょうがないか。
その瞳が覗いているうちは、このコがこうして僕に描かれるなんてことは在りえないもの。

それでもこのコのスケッチが、確実にスケッチブックに増えていってるってのも不思議な話だ。


きっと目を覚ましたらまた怒りだすんだよ・・・
そう思いながらスケッチブックを閉じたら、タイミングよく彼は目を覚ました。
案の定、・・・・僕がスケッチブックを持っているのを見て、口を尖らせている。

「また俺描いてたのかよ・・・?」

おやおや、人のウチで寝ておいて、目覚めた後の第一声がソレかい?
でもこれもいつもの事だ。

「さあね。」

曖昧に返した僕の言葉に、鋼の守護聖様はますますご機嫌ナナメみたいだ。
・・・・全く、解り易いったらないね。

「ところで。」

僕はそんなことはお構いなしに切り出した。

「今日はどんな用事だい?キミがここにいるってことは、また何か預かってきたんだろう?」

大抵このコは、地の守護聖様あたりからおつかいを頼まれて僕のところに来るんだ。
用事を忘れて帰られたりしたら、僕も困る。
でも、・・・おや、今日は違うみたいだ。
僕の言葉に、不機嫌だった彼が、バツが悪そうに俯いてしまった。

「いや・・・今日は・・・別に、何も預かってねぇよ・・・」
「へぇ?それなのにキミが僕のところに居るなんて、おかしいね?」

しかも、勝手に入ってきて。さらに眠りこけていて。
そう付け加えたら、赤い瞳が睨みつけてきた。

「あー!俺が悪かったよ!畜生ッ!」

フフ、わかればいいんだ。
でも、キミは僕の特等席を無断で借りてくれたんだから、僕にだってこの位言ってももいい権利があると思うんだけどな。


「悪かったついでにさ、あとちょっとだけココにいさせてくんねぇか?」

この言葉には、流石の僕も驚いて少しだけ目を見開いた。
そうか、多分また誰かに怒られるようなことでもしでかしているのだろう。
それとも、また風の守護聖と喧嘩でもしたのかい?
僕は一瞬考えて、答えた。

「そうだね、キミが今度起きてる状態で僕のスケッチのモデルになるって言うんだったら、もうちょっとだけ置いてやってもいいよ。」
「なんだってェ?!」

ホラきた。
思った通りの反応を返してくるね、全く。からかい甲斐もあるってもんだよ。

「誰がんなコトするかよ!」
「キミのことだ。どうせまた何かやらかしたんじゃないのかい?」
「!」

ホラ、図星だ。

「クソったれ、てめェにまで説教食らったんじゃやってらんねぇぜ。邪魔したな。出てく。」

彼はソファから飛び降りて、もう窓に手をかけていた。
あぁ、もう、そうやってすぐ頭に血が上るんだから・・・
それじゃいつまでたっても反抗期って看板下ろせないよ?


「誰が説教するって?僕は一言も悪いとは言ってないじゃないか。」
「あぁ?」

僕の言葉に彼は怪訝な顔をして振り返った。



「いいんじゃない?周りが何と言おうと、キミの好きなようにやったら。そのうち、見えてくることもあるんじゃないかい?」




彼は赤くて大きな瞳をますます見開いて僕を見た。






いいんじゃない?今はそれで。
嫌でもそのうち皆少しずつオトナになっていくんだ。

だから、今は。




キミの、お気に召すままに。




END

またばななちゃんから貰っちゃいましたvv
1000Hitお祝いだってv キャーvvv(奇声)
嬉しくて小躍りしちゃうv
ゼフェル君かわいー(笑) ばななちゃんはゼフェル好き〜v(歌ってみましょう/爆)
実際SP2でこの2人が仲良くなると ゼフェル君は彼のお部屋で寝てるのダv
そのお話が小説になったらこんな感じ? って気分になったの。
相変らずステキな小説をありがとう〜〜vvv

ばななちゃんのサイト→ 「LOVE FACTORY」





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