夢のような夢の話 -小ネタ-





※ 日記に書いた小ネタを再録してみました。




1.幼馴染達のとある朝

「昨日、変な夢を見たよ。」
 いつものように幼馴染3人でお茶をしている時にそう言ったのは黎翔。
 2人が聞く姿勢になったので湯飲みを卓に置く。

「僕が狼陛下になってた。」
「黎翔が? 有り得ないわよ。」
 夕鈴はそれをあっさりと切り捨てた。
 狼っていうより小犬な貴方がどうやったらそうなれるのよ、と。
「それより、お茶のおかわりいる?」
「うん。」



「…オイ。アイツまだお前のあっちの性格気づいてないのかよ。」
 準備のために台所へ向かう彼女の背中を眺めつつ几鍔が呆れた顔で言う。
 小さい頃から一緒に育っているのにもかかわらず、何故か夕鈴はそれに気づいていなかっ
 た。

「夕鈴は素直だよねぇ。」
「…単純なだけだろ。」


 …そこでは夕鈴がお妃様で、でもいつもの夕鈴だったんだよと。
 言っても良かったけれど、言うのも勿体ない気がして。結局2人には言わずにいた。


・・・・+・・・・
実はパラレルワールドだったら面白いなぁと。
幼馴染な方の3人でした。

2011.10.10. UP




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2.耳に残る声

『黎翔』
 あの声が今も耳に残っている。

 もう一度呼んで欲しい。
 あの声で、もう誰も呼ばない僕の名を。


「―――ね、夕鈴。名前で呼んでよ。」
 あくまでさらっと、軽い調子でお願いしてみた。
「私に死ねと!?」
 お茶を注ぐ手を止めた彼女から、青い顔で即否定される。 
 やっぱり予想通りの反応でこっそり凹んだ。
「…僕が良いって言ってるのに。」
「陛下は良くても李順さんに殺されます!」
「2人きりでも?」
 少し食い下がってみる。
 落胆を隠さずに、しょんぼりして。…彼女がこれに弱いの知っていて。

「…い、1度だけですよ!?」
 長い長い間の後で、彼女は決心したように言った。
「ほんと!?」
 その返答にぱっと顔を明るくすると赤い顔でぐっと詰まる。
 恥ずかしいとか思ってるんだろうなー可愛いなー

「れ、」
「うん。」
「…れ、黎翔、さま…っ」
「うん。何?夕鈴。」
 にこにこにこと、嬉しくてつい顔が緩む。
 耳まで真っ赤になった夕鈴はもう泣きそうだった。
「こ、これで良いですかッ?」
「うん。―――でも様も無しで、黎翔って呼んでくれないかな?」
 夢の中の夕鈴は躊躇いなくその名を呼んだ。
 でも、

「それは無理です――!!」
 返ってきたのは力いっぱいの否定の言葉。

 …やっぱりね。
 残念だけど、それはまたの機会にとっておこう。


・・・・+・・・・
うちの夕鈴さん、正妃になっても子ども産んでも「陛下」って呼んでるんですよね。
だからちょっと陛下にプレゼントをと(笑)

2011.9.25. UP



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<夢の方の設定>
・狼陛下と黎翔は別人…らしい
・黎翔は下級貴族の末息子
・几鍔の親と黎翔の親が知り合い
・黎翔は恋心を隠してないし遠慮もしてない
・几鍔も実は自覚してんじゃないかこれとか思うけど
・この2人相手じゃ他に男は近寄れないよね(笑)
・夕鈴はきっとどっちの気持ちにも気づいてない(…)



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