夢を見た朝



(どうしてあんな夢を見てしまったのかしら……)

 薄暗い寝台で、一人深い溜息をつく。


 ―――貴方の隣に立つ夢なんて。

 決して、叶うはずもない夢を。




 甘く微笑む彼の隣で、自分も笑っていた。
 周りに祝福されてみんな幸せで。
 世界中の幸せを集めたみたいな、そんな気分だった。


『夕鈴』

 あの人の笑顔は私のもので、私の全てはあの人のものだった。
 夢みたいだと言ったのは私。






 …そうして目覚めてしまった。
 夢のような光景は、本当に夢だったなんて… 笑えない。



 幸せな夢を見た朝はとても辛い気持ちになる。
 目覚めた時、現実を知らされてしまうから。


 現実の私は、その夢が叶わないことを知っている。

 傍にいたいと願っても、それは期間限定のもの。
 いつか去るべき日が来ると分かっているから。



 だからこれは胸に秘める。

 誰にも知られることのない、胸の最奥に沈めた私の"夢"。




2011.9.30. UP



---------------------------------------------------------------------


まずは短めに。
夢は私の好きな題材です。



BACK