K夕鈴&李順




「そうではありません!」
 李順の叱責の声が部屋に響く。

「何度言えば分かるんですか。」
 深く深く溜息をつかれて、仕方ないじゃないと内心で毒づく。
 もちろん声に出してなど決して言えないけれど。

「仕草1つで印象がガラリと変わりますからね。―――見ていてください。」

 扇を置く仕草、
 髪を耳にかける仕草、
 呼ばれてふり返る仕草、

 どれもさりげない仕草なのに、たおやかで気品がある。
 …やっているのは李順さんだけど。
 でも、くしゃみで花を飛ばしただけはある。

「てゆーか、ここまでやるの…?」
 普段全く意識していないこれらを意識してやれと。
 はっきりいって無茶だ。

「減給されたいですか?」
 聞き逃さなかった彼にすごまれて首を振る。
 この鬼上司には弱みを握られているのだ。
「いえ! やります!!」

(減給だけは勘弁してくださいっ 借金が返せなくなるっっ)



「…ところでどうしてそんなに上手なんですか。」
 私より女子力高そうな気がする。
 ここまでくるとすごいを通り越して怖い。

「無駄口はよろしい。」
 けれど、返ってくるのは答えとはほど遠い。
 逆に怒られてしまった。

(いつもはぐらかされるのよね…)
 その女子力の源を知りたいのだが、未だに明確な答えは得られていない。

 謎は深まるばかりだ。





---------------------------------------------------------------------


くしゃみも化粧も含めて、李順さんのスキルが謎です。
側近なのにお妃教育もできるし…



BACK