夢の感触





※LaLa11月号のネタです。
  コミックス派の方はすみませんがUターン推奨します。






 下ろした長い髪から滴り落ちる透明な雫
 
 背を向けた彼女は、天から注ぐ光へと手を伸ばし祈りの言葉を紡ぐ。
 

 うっすらと 衣に透ける肌の色
 
 細い腕、くびれた腰のライン、臀部まで、、
 薄い衣は水に濡れてぴたりと張り付き、たおやかな身体の線をくっきり見せる。
 


『陛下』
 気づいた彼女が振り返り、こちらへと歩を進める。
 
 裾からこぼれ出る白い足
 肌に絡み付く衣は隠されたところまで見せてしまいそうだ。
 
 はだけた襟元は鎖骨を晒し、二つの膨らみが作る谷間の近くまで深く開いていた。
 

 これ以上見てはいけない。分かっている。
 己の中の獣が飛び出してしまう。
 
 だが、それでも目が離せない。
 

『陛下…』
 伸びてきた細い腕がするりと背中に回される。
「ゆう… っ」
 彼女の姿が見えなくなってホッとしたのも束の間、別の意味で窮地に立たされ息を飲んだ。
 
 密着した二人の間、そこにある柔らかいものが黎翔の身体に押し当てられている。
 
 彼女から香る甘い匂い、あたたかな体温、
 
「―――――…!」
 まずいと思って肩を掴むと引き剥がした。
『陛下?』
 彼女はよく分かっていないとでもいうように首を傾げる。
 前髪から落ちた雫が彼女の胸元に落ちて、中へと流れ―――、落ちる様を見てしまった。
 

 さっきよりも二人の距離はずっと近い。
 小さな彼女を見下ろすと、奥まで見えてしまいそうになって、、
 





「……ッ」
 そこで目が覚めた。
 静寂に満ちた薄闇の中、煩悩まみれの夢を思い出して思わず目元を覆う。
「またか…」
 日々リアルになっていく夢に、己の理性を試されている気がする。
 魅力に溢れた姿態に、自分はいつ手を伸ばしてしまうのだろう。
 
 夢なのにリアルな感触はまだ覚えている。
 腕を持ち上げ、触れた熱さが残る…気がする手を見つめた。
 

 星離宮での禊ぎ姿の夕鈴は健康的でいて、なのに艶やかだった。
 普段は厚い布地に覆われて分かりにくいラインが、あの時だけははっきり見えて。
 見てはいけないものを見てしまった気分で、急いで腕の中に隠した。

 …そのせいで彼女の柔らかさを知ってしまって、それ以上触れることはできなくなったけ
 れど。
 

 見てないのは嘘だけど、あんな風に触れてもいない。
 自分の視界から外すために抱き込みはしたけれど、ギリギリ触れてはいないはずだ。

 触れたのは最初のほんの一瞬だけ。
 
 なのに、まだ忘れられない。
 






*
 






「きゃっ!?」
「夕鈴っ」
 躓いた彼女をとっさに正面から抱き止める。
 腕の中に落ちてきた少女はいつものように慌てふためいていた。
 
 可愛くて面白い、とっても元気な兎。
 
 戯れに抱きしめてしまおうかと悪戯心が芽生えたとき、
 
『陛下…』
 甘い蜜のような声を思い出す。
 
 腕の中にあるあたたかさ、押し当てられる柔らかさ。
 
 ―――蘇る夢の情景が、理性をぐらつかせる。
 

「―――――!」
 ぱっと視線を逸らし、彼女を視界から引き剥がした。
 
「? 陛下??」
 夕鈴は挙動不審に陥った僕を不思議そうに見上げてくる。
 でも今はあまり見ないで欲しい。
「…何でもない。」
 

(まずいな…)
 "いつも通り"を忘れそうになる。
 夢と現実の境が曖昧になりそうだ。
 
 けれど、触れないようにしたら、また彼女を不安にさせてしまうんだろう。
 

 夕鈴のため、そして自分のため、
 
 理性を試される日々はまだ続きそうだ。
 



2012.11.12. UP



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裏タイトルは『悶々陛下』(笑)
これは某S様とのメールから。書くと言ったので約束の品です。
見てないは絶対嘘だ! で、毎晩夢に見て悶々としてれば良いww
そんな会話の中から生まれました☆

最初のぽすっの時、確実に当たってる気がするんですけど…(何がって、ねぇ?)



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