『初恋は実らない。』 いつ誰が言い出したのか分からない迷信めいた話。 それがアテにならないと思うのは、彼の周りでは半分当たりで半分外れだからだ。 妹はその一途さで"初恋"を実らせた。 ―――同時にそれは、凛翔の"初恋"の終わりを告げるものだった。 元々実らせる気はなかった想いだ。実らなかったところで問題はない。 妹が幸せであればそれで良いと思えるようになるくらいには、想いはすでに昇華している。 初めから知っていた。 この想いが叶うことがないことも。 無理矢理叶えても不幸しか生まれないことも。 分かっていたから望まなかった。 ……凛翔の初恋は、鈴花(いもうと)だった。 →次へ --------------------------------------------------------------------- 長いこと少しずつ書き溜めていたものがやっと完成しました。 鈴花がメインだった「初恋の行方」の派生品のようなものです。 鈴花の初恋は李順だけど、凛翔は鈴花だったという。実は本気でしたという話。 そしてその結末を書いてみたかったので。 2018.1.2. UP