第一部『薄緋の君の残り香』
     ※ こちらはさくらぱんさんの作品です。




☆本誌11月号本誌まるごとストーリー・がっつりネタバレ含みます。
 コミックス派の方は、Uターン推奨。


 

 緑濃い禊(みそぎ)の神聖な泉に無粋な人影。
 
 妃(夕鈴)の命を狙い、彼女へと忍び寄る刺客を仕留めるために
 
 浩大たちと包囲網を狭め、捕まえようと追い詰めたその時・・・
 
 勇ましくも、愛しい我が妃の姿。
 
 儀式中のはずのここにいるはずのない愛しい人
 
 それに気付いた刺客が、彼女の許へと踵(きびす)を返して走り寄る
 
 手近な木の上に潜み、彼女を狙う者も
 
 その手には、銀の煌めき・・・
 
 とっさに、僕は夕鈴に向けて叫んでいた。
 
『そこを動くなっ!!夕鈴!』
 
 びくりと、反応して立ち止まる彼女・・・・彼女の頭上の木に刺客が!!!!
 
 慌てて、暗器を出して、彼女を狙う刺客に向けて投げつけた。
 
 うまく、彼女を傷つけることなく刺客は動きを止めた。
 
 木の上から、どさりと刺客が落ちる
 
 そのまま、見つかったとばかりに落ちた刺客が逃げ出した。
 
 僕は、走りながら、浩大に呼びかけた。
 
『浩大っ!!!』
 
 心得たとばかりに、即座に反応して刺客を捕縛する為 追いかける。
 
 そのまま、浩大は私の指示を待つまでもなく、刺客を李順の許へと連れて行くのだろう。
 
『逃がすな浩大!』
 
 ーーはいよっ
 
『夕鈴!何故こんな所に』
 
 疑問のままに、夕鈴に駆け寄る
 


「陛下っ!!!」
 
 僕を見つけた、夕鈴の顔がほっとする。
 
 禊の途中だったのだろう・・・ずぶぬれの姿で僕らの前に現れた彼女の手には、なんとも
 心細い長い柄の蜀台ひとつで・・・
 
 それでも果敢に立ち向かおうとしていたことに僕は驚く。
 
 (・・・・・夕鈴、無茶だよね。)
 
 彼女の無事に安堵しつつも、彼女の突飛な行動にいつもながら驚く。
 
 未だ距離のある彼女に向かって僕は、駆け出した。
 
 夕鈴も、僕に向かって走り出す。
 
「陛下  今のは、いったいーーーっ」
 
 庇護を求めるかのごとく、無防備に走りよる君の姿を
 至近距離で目にして、僕は、気付いてしまった。
 
 あられもない君の姿に・・・・
 
 禊の途中だったのだろう、白い神事用の単衣は、透けて
 所々が濡れ貼り付く。
 
 普段は、きっちりとした姿で清楚な印象の君は、
 透けた衣に身体の線を露わにして悩ましげな姿で僕の目の前にいる
 
 緊張感が抜け安心したのか、全身から匂い立つように、
 ほんのりと艶の或る薄紅色に染まる肌。
 
 彼女の大きく肩で息をし、上下する胸元から、視線をはずさねば。
 
 理性の天秤が大きく傾く・・・・これは、試練なのか?
 

 無造作に、大きく乱れた単衣は襟ぐりから張りのある美しい双丘が覗き
 先の頂までもが露わに分かる
 
 濡れた金茶の髪は、細い首に張り付き
 鎖骨や細い首筋までもが一目で分かってしまう。
 
 腰のラインも張り付き
 なだらかな曲線のその先までも・・・・
 
 見ては、イケナイそう思う。
 泳ぎだし・・・・定まらない視線。僕は君を直視できない。
 
 視線をそらさなければ・・・
 だけど、君の姿から目が離せない。
 君の魅力に抗えない。
 
 無意識で無防備な罪作りな君は、そのままさらに僕に近づく。
 君を、僕は、どうしていいのか分からない。
 

 とりあえず、自分にできることをせねば・・・・
 ーーーーーー僕の衣で隠すように胸の奥へ抱きしめた。
 だけど、この手をどうすればいいのか分からない。
 
 君は、訳も分からず僕の突然の行動に動揺して・・・
 顔を真っ赤にしながら動揺を隠せず、夕鈴、君は奇声を放つ
 
「!?なっ!?ななな!?」
 
 僕だって、かなり動揺しているのだけど・・・・
 この分だと、きっと君は、気付いてないよね。
 
 冷静に・・冷静に・・・驚かさない声色で、抱きしめる君の耳元で囁く。
 
 動揺する僕の顔を君が見なくてよかった・・・・のか?
 
 はっきり言ってこのままは、ヤバイ。
 抱きしめた君を意識してしまう。
 腕の中に抱きしめた君の柔らかさ。ぬくもり。いつもの君の香り。
 
 先ほどの君の悩ましい鮮やかな姿が、僕の瞳に焼き付いている。
 
 嫌でも意識してしまう。君をーーーー
 
『説明は、後だ  夕鈴。』
 
「陛下?」
 
『とりあえず着るものをなんとかしよう・・・・』
 
 浩大とかが、戻ってくるまえに・・・
 こんな姿は、僕以外に誰にも見せないようにせねば・・・
 
 夕鈴、君はほんとに罪な人だね。  




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今回もさくらぱんさんとコラボで遊んでいただきました♪
ちなみにプロローグは完全にさくらぱんさんの作品です。
手を入れて良いと仰られたんですけど、これはさくらぱんさんのなのでそのまま掲載。
SNSでしか見られないさくらぱんさんのお話をご堪能くださいませ☆

で、次からが二人のコラボになります〜

2012.12.22. 再録



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