『秘色 ー新年の参賀ー』
     ※ こちらはさくらぱんさんの作品です。




 天高く浄化の音が木霊する・・・・
 年が明けた最初の日は、澄み切った空に明るい太陽が輝いていた。

 
 穏やかな祝福の風が吹く 正月の白陽国
 新年を祝う爆竹の音が賑やかに下町のあちこちで聞こえる。
 爆竹は新年には、欠かせない 。
 音が大きければ大きいほど、浄化の力が大きいとされ祝い事には欠かせない。
 絶え間ない爆竹の爆ぜる音が響く。
 人々は、活気づいており、新年を祝う喜びに満ちていた。
 
 そんな下町とは、対照的に王宮は静かに・・・・厳かに新年を祝っていた。
 



 
 正月飾りを施した、絢爛豪華な謁見の間に
 周宰相を筆頭に、氾大臣、柳大臣、及び諸大臣、政務室官吏、地方官吏・・・・全白陽国
 の重鎮、官吏達が一同に集まっていた。
 
 物音ひとつしない静寂の中で、人々はただ一人の主君を待っていた。
 
《新年の参賀》
 主君である白陽国国王 珀黎翔陛下に新春の挨拶を寿ぐ。
 年が明けてから最初の儀式。
 
 皆、新春らしい華やかな衣装を着ており、まるで錦の花が咲いたような
 謁見の間であった。
 
 先触れの声が響く。
 白陽国国王 珀黎翔陛下とその唯一の妃・夕鈴妃の登場を告げる声が朗々と謁見の間に響
 き渡った。
 
 宰相、大臣、官吏達一同に頭(こうべ)を垂れ、王を出迎える。
 
 程なく、衣擦れの音が聞こえ始めてきた。
 玉座のほうから、衣を引きずる重たげな音。
 広い謁見の間に、静かに響く王の衣擦れの音。
 続くそれより軽やかな妃の衣擦れの音。
 髪飾りの歩庸の涼やかな音色。
 
 音が聞こえなくなり、王が玉座に着いたことを知る。
 

『新春から皆、よく集まってくれた。礼を言おうぞ。
 皆の者、大儀であった。面を上げよ。』
 
 白陽国国王 珀黎翔陛下の張りのある若々しいけれど
 厳しい支配者としての威厳ある声が響く・・・
 
 その声に、皆が面を上げた。
 
 周宰相が進み出て、主君である白陽国国王 珀黎翔陛下に
 新春の寿ぎの言葉を捧げ始めた。
 
 玉座の王は、臣下を真摯に見詰め、口上を受ける。
 王の玉座の傍らには、寵妃・夕鈴妃が慎(つつ)ましくも艶(つや)やかな妃の衣装を着こな
 して にこやかに佇んでいた。
 柔らかな微笑を浮かべて、口上をのべる臣下を見守る。
 
 ・・・・いよいよ長い長い《新年の参賀》が始まる。




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背景描写はさくらぱん様にお任せ☆

続く後書きはさくらぱん&かなめver.です。
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まあ、流れはほとんど変わりませんけど。


2013.1.14. 再録



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