☆はっぴい・はろうぃん☆(4)




 選択は、あまりにも少なく
 
 夕鈴の選択肢は、たったの3つ
 
 壁際にじりじりと追い詰められていく、哀れな獲物
 
 涙目で、見上げる赤は、濃い紅(くれない)の美しい狩人の瞳。
 
 ―――――――魅入られるその瞳、  
 
 漆黒の仮面の下で、焦燥感を煽る 獲物を狩る狩人の瞳が煌めく。                           
 


『夕鈴、逃げてもムダだよ。』
 綺麗な綺麗な笑顔で、夕鈴を追い詰めていく。

『お菓子がないんだから。』
 ね? と可愛らしく告げながら、仮面の奥の瞳は鋭く輝く。

 とりっくおあとりーと――― 聞き慣れない異国の言葉。
 お菓子をくれなきゃいたずらするぞ という意味の、今日だけ通じる呪文。

『ハロウィンのルールに従わなければね。』
 (・・・本当は白陽国には、そんな祭りなど無いのだから、君が従う義理などないんだけ
 ど・・・)
 
 けれど素直な獲物は気づかない。
 そのまま罠へと誘われる。



 (そんなの選べないっ)
 じりじりと後ずさりながら、夕鈴はどうにか打開策を練る。
 けれど、浮かばずに逃げ道はだんだん無くなっていく。

「・・・・えーーと。ほかに、選択肢はないんですか?」
『これはルールだから、ほかにないんだよ。』
 一縷の望みも木っ端微塵に砕かれた。
『残念だったね。夕鈴。』
「・・・・・そんなぁ//////・・・。」

 ・・・・とんっ
 今にも泣き出しそうな兎は、とうとう壁際まで追い詰められた。
 
 黎翔は、夕鈴の頤(おとがい)を捉えて選択を促す。
 はしばみ色の瞳を仮面をつけた見知らぬ人が覗き込む。

 
『夕鈴、お菓子がないんじゃ・・・しかたないよね。』
 覚悟は決めた?と追い詰めた狼が尋ねてくる。
『もう一度、ゆうりん。君に聞くよ?』



『1.僕が君にキスをする。』
 黎翔の親指が、夕鈴の唇を掠める。

『2.僕が、子守唄を歌う。』
 顔を近づけた彼が耳元で低く囁く。

『3.君の隣で添い寝。』
 近づいた熱がそっと離れて、紅い瞳が夕鈴を見つめる。


『さあ、夕鈴選んで?』
 真っ赤になって固まる夕鈴に、綺麗なヒトが微笑んだ。



 ぐるぐる廻る世界の中、陛下の紅い瞳しか見えない。
 紅い瞳に囚われる

 陛下の赤い舌が、ぺろりと自分の唇を舐めた。
 その様は、まるで狼が舌なめずりしてるように見えた。


 ・・・・・夕鈴が選んだ選択は?

 運命は!?





☆はっぴい・はろうぃん☆ 3つの選択肢
 ※こちらから希望する選択肢を選んでください。

 『1.僕が君にキスをする』 (※注:がっつり大人味♪)

 『2.僕が、子守唄を歌う。』

 『3.君の隣で添い寝。』
 

 ―――さあ、狩人の狩りの行方は?





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どれを選んでも陛下の得のような気がしますが…
さて、夕鈴はどれを選ぶのでしょうか??

2012.12.9. 再録



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