選択は、あまりにも少なく 夕鈴の選択肢は、たったの3つ 壁際にじりじりと追い詰められていく、哀れな獲物 涙目で、見上げる赤は、濃い紅(くれない)の美しい狩人の瞳。 ―――――――魅入られるその瞳、 漆黒の仮面の下で、焦燥感を煽る 獲物を狩る狩人の瞳が煌めく。 『夕鈴、逃げてもムダだよ。』 綺麗な綺麗な笑顔で、夕鈴を追い詰めていく。 『お菓子がないんだから。』 ね? と可愛らしく告げながら、仮面の奥の瞳は鋭く輝く。 とりっくおあとりーと――― 聞き慣れない異国の言葉。 お菓子をくれなきゃいたずらするぞ という意味の、今日だけ通じる呪文。 『ハロウィンのルールに従わなければね。』 (・・・本当は白陽国には、そんな祭りなど無いのだから、君が従う義理などないんだけ ど・・・) けれど素直な獲物は気づかない。 そのまま罠へと誘われる。 (そんなの選べないっ) じりじりと後ずさりながら、夕鈴はどうにか打開策を練る。 けれど、浮かばずに逃げ道はだんだん無くなっていく。 「・・・・えーーと。ほかに、選択肢はないんですか?」 『これはルールだから、ほかにないんだよ。』 一縷の望みも木っ端微塵に砕かれた。 『残念だったね。夕鈴。』 「・・・・・そんなぁ//////・・・。」 ・・・・とんっ 今にも泣き出しそうな兎は、とうとう壁際まで追い詰められた。 黎翔は、夕鈴の頤(おとがい)を捉えて選択を促す。 はしばみ色の瞳を仮面をつけた見知らぬ人が覗き込む。 『夕鈴、お菓子がないんじゃ・・・しかたないよね。』 覚悟は決めた?と追い詰めた狼が尋ねてくる。 『もう一度、ゆうりん。君に聞くよ?』 『1.僕が君にキスをする。』 黎翔の親指が、夕鈴の唇を掠める。 『2.僕が、子守唄を歌う。』 顔を近づけた彼が耳元で低く囁く。 『3.君の隣で添い寝。』 近づいた熱がそっと離れて、紅い瞳が夕鈴を見つめる。 『さあ、夕鈴選んで?』 真っ赤になって固まる夕鈴に、綺麗なヒトが微笑んだ。 ぐるぐる廻る世界の中、陛下の紅い瞳しか見えない。 紅い瞳に囚われる 陛下の赤い舌が、ぺろりと自分の唇を舐めた。 その様は、まるで狼が舌なめずりしてるように見えた。 ・・・・・夕鈴が選んだ選択は? 運命は!? ☆はっぴい・はろうぃん☆ 3つの選択肢 ※こちらから希望する選択肢を選んでください。 『1.僕が君にキスをする』 (※注:がっつり大人味♪) 『2.僕が、子守唄を歌う。』 『3.君の隣で添い寝。』 ―――さあ、狩人の狩りの行方は? --------------------------------------------------------------------- どれを選んでも陛下の得のような気がしますが… さて、夕鈴はどれを選ぶのでしょうか?? 2012.12.9. 再録